新卒採用と聞くと、説明会や面接のイメージが強いかもしれませんが、実際には年間を通してさまざまな仕事が発生します。
今回は、新卒採用を担当する人事の年間の業務スケジュールを紹介します。インターンの企画・準備から、面接、内定後の入社までのフォローなど、「実はこんなことまで!」という実際に経験したリアルな内容も盛り込んでいきます。
新卒採用担当の年間スケジュール
1月:冬インターンの準備〜実施/採用サイトや資料の見直し
3月の会社説明会解禁に向けて、最後のインターンの準備から実施をします。夏インターンに参加しなかった就活生が冬に動き出すこともありますので、夏同様に冬のインターンも実施します。
また、3月の説明会解禁に向けて、採用サイトの情報や紹介資料の見直しや修正をします。
毎年1月ごろから徐々に多忙になっていきます。
2月:冬インターン実施〜早期選考会/ナビサイトの最終調整
1月から引き続き冬インターンの実施となります。私の場合は、インターン参加者の早期選考会を並行して進めていましたので、インターンを実施しながら、就活生への連絡や面接等の選考対応をします。
リクナビやマイナビなどのナビサイトは3月の解禁に合わせて公開となりますので、掲載している情報の最終チェックをする必要があります。
1月と比べて忙しさが増してきます。
3月:採用広報・説明会解禁/エントリー受付/入社式・入社の準備
3月から採用広報や説明会が解禁となり、一斉に本格的な採用活動がスタートします。就活生の動きが最も活発化しますので、すぐに説明会の実施やエントリーした就活生への連絡等の対応をします。
ほぼ毎日、説明会の予約受付、説明会の実施、参加者への連絡、エントリー受付、選考案内、書類選考、面接対応など、かなりのマルチタスクでスピード感が求められます。
また、4月には新入社員の入社がありますので、4月1日の入社式や入社手続きの最終準備も必要となります。入社式には役員が参加するため、スケジュールの確定から当日の進行確認をし、入社手続きには必要な書類を用意したり、内定者への連絡もします。
年間を通して3月が圧倒的に忙しいです。日中は説明会と面接等の選考対応、少しの空き時間や定時後にその他の事務作業の対応をする、というスケジュールが連日続きます。
4月:説明会・選考対応/内定者対応/新入社員対応
引き続き、説明会と選考の対応をします。3月との違いは、選考に進んでいる応募者から内定が出始めます。そのため、内定通知書等の書類発行の対応や内定承諾してもらえるようなフォローをしていきます。ここでの内定者フォローを怠ると、3月の選考が台無しになってしまうため、優先順位は高くしつつ、3月と同様のペースで説明会と選考の対応もします。
並行して新入社員の対応も必要になるため、入社式、入社手続き、研修の案内などの対応をします。
今年の新入社員の対応と来年入社する新入社員の採用活動が入り混ざるため、3月とは違う忙しさになります。
5月:内定者対応の強化/新入社員の配属準備
5月になると、エントリー数が減ってくるため、内定者のフォローを強化していきます。内定者懇親会や若手社員との座談会など、内定者同士の交流や入社後のイメージを伝える施策を考え、実施していきますが、いかに辞退されないようにするか、が重要になります。
入社した新入社員の研修の終わりが近づいてきますので、配属準備に取り掛かります。各部署との連携や新入社員への配属発表など、対応も多岐にわたります。
エントリー数が減ってくる時期になるため、忙しさは収まりますが、内定者フォローの結果が今年の採用活動の結果に大きく影響するため、とても重要な時期になります。
6月:夏インターンの準備
説明会や選考対応は引き続き行いますが、再来年入社の就活生に向けた夏インターンの準備に取り掛かります。夏インターンの特徴としては、各社、仕事体験や複数日程のインターンを開催するため、他社に負けないようなインターンを企画する必要があります。
入社した新入社員の対応も残っていて、説明会や選考の対応、再来年入社の就活生向けのインターンの対応が重なるため、本当に何が何だか分からなくなります。
7月:夏インターンの実施
学生の夏休みに合わせて、7月から8月にかけて夏インターンを実施します。ここで参加してくれた学生が次の採用活動の母集団に直接繋がりますので、インターンの周知や参加学生のフォローにも注力します。
夏頃から採用活動の忙しさが落ち着き、閑散期に入っていきます。(インターンに力を入れている企業も多いため、企業によって異なりますが)
8月:内定者イベントの実施
学生の夏休みに合わせて、内定者向けのイベントを実施します。内容は5月にも書いたような、内定者懇親会や若手社員との座談会などの交流がメインとなります。内定者同士の顔合わせの場にもなりますので、会社の話だけではなく、内定者だけの時間も用意し、横の繋がりを強化します。
比較的、落ち着いている時期になりますので、夏休みを取得するなどリフレッシュができます。
9月:内定式の準備
10月の内定式準備がメインとなります。会場の手配、日程決め、役員調整、式次第、内定者案内など、地味な業務が多いですが、ミスが許されない責任ある仕事になります。一つの連絡漏れが、大きな影響をもたらしますので、確実な確認をしながら進めていきます。(会場確保ができていなかった、役員のスケジュール確保ができていなかった、など)
多くの人を巻き込みながら進めていきますので、内定式が終了するまでは気持ち的にも落ち着かない日々が続きます。
10月:内定式の実施
内定式の実施となり、当日は裏方に回り、進行に支障がでないようにします。9月の準備を徹底すればするほど当日にトラブルは起きにくいですが、内定者の迷子や遅刻、時間配分など、トラブルを想定した対応も事前に確認しておくと安心です。
10月は内定式の振り返りや反省をしつつ、入社に向けた準備に切り替えていく時期となります。
11月:採用活動の振り返り
採用活動の区切りが内定式となりますので、今年の採用活動の振り返りを実施します。インターンや説明会、選考、内定者フォローを振り返り、良かった点や課題点などを共有し、次の採用活動に繋げていきます。
経験上、母集団の形成や内定辞退人数、採用予算などの課題点が目立つため、少し落ち込みつつもすぐに次の採用に切り替えます。
12月:冬インターンの企画/採用イベントに出展
冬のインターンの内容や何名参加を目標にするか、などの企画や設計をします。就活生も選考を意識している時期になりますので、選考直結型や選考案内も交えたインターンで企画をしていきます。
また、合同説明会や学内企業説明会などのイベントに参加し、会社紹介やインターンの告知をします。その場でインターンの予約をしてもらうなど、効果的な施策も考えておきます。
年末にはなりますが、出遅れないように次の採用をスタートしていきます。
ちなみに事務作業ってどんなことしてる?
補足にはなりますが、デスクワークなどの事務作業について紹介します。
新卒採用は1年以上をかけて取り組む仕事
読んでいただいたお分かりになると思いますが、新卒採用はインターンを含めると1年以上かけて進める仕事になります。
採用担当としては、4月の入社式が一つの成果になり、採用担当にとっても入社式は特別な日で最もやりがいを感じる日にもなります。その入社式に至るまでに、どれほど多くの仕事があるかを、この記事を通して知っていただけたら嬉しいです。
必ず人と関われるのが人事の醍醐味
人事の仕事は採用だけではありませんが、今回紹介した新卒採用のどの仕事も必ず人と関わります。自分の接し方や巻き込み方によって、大きく結果が左右すると言っても過言ではありません。
大変なこともありますが、マニュアルのないことばかりで、自分で仕事を進められるというやりがいのある職種だと思っています。
別の記事で中途採用担当や教育・研修担当の1年間についても書いてみようと思います。もしよかったらまた読んでください。