10月に入り、多くの企業で「内定式」が行われる季節。
期待と不安が入り混じる中で、「あれ、なんかこの会社やばいかも…?」と感じた人も少なくないはずです。
社員の雰囲気がギスギスしていた、説明が曖昧だった、急に“愛社精神”を求められた——そんな違和感を覚えたとき、あなたはどう動くべきでしょうか?
ここでは、人事として多くの内定者・新卒を見てきた視点から、「やばい」と感じた時に冷静にできる対処法を5つ紹介します。
①違和感の“正体”を具体的に言語化してみる
まず最初にやるべきは、「やばい」と感じた理由を明確にすることです。
なんとなく不安、なんとなく嫌な感じ、という曖昧な感情のままだと、判断を誤りやすくなります。
たとえば、こんな違和感を感じた人はいませんか?
- 社員の表情が暗く、笑顔が少ない
 - 内定者への説明が曖昧で、質問してもはぐらかされた
 - 想定していた仕事内容と明らかに違う話が出てきた
 - 強い上下関係や体育会的ノリを感じた
 - SNSや口コミの評判とギャップがあった
 
これらの違和感のどれが“自分にとって一番の引っかかり”なのかを整理しましょう。
ノートやスマホのメモに、「何が」「どの場面で」「なぜ不安だったのか」を書き出すだけでも、頭がすっきりします。
感情を言葉にして初めて、「これは自分の価値観の問題か」「それとも会社の体質なのか」が見えてきます。
②同期や他の内定者に話を聞いてみる
一人で考え込むと、違和感がどんどん大きくなってしまうこともあります。そんなときは、同期や他の内定者と情報交換をしてみましょう。
「今日の雰囲気、ちょっと変じゃなかった?」と軽く聞くだけでもOK。同じように感じている人が多ければ、組織全体の問題の可能性があります。
一方で、「自分だけが気にしていた」と分かれば、少し冷静になれることも。
また、同期の中には「別の支店」「別の部署」に配属予定の人もいます。話を聞くことで、部署による雰囲気の差や、会社全体のリアルを掴むヒントになるかもしれません。
内定者同士のLINEグループやSNSのDMなど、クローズドな場をうまく活用してみてください。
③OB・OGや第三者に相談して“外の目線”をもらう
自分と同期の間だけで考えると、どうしても視野が狭くなります。そこで有効なのが、OB・OG訪問や第三者への相談です。
たとえば、
- キャリアセンターの職員
 - 信頼できる大学の先輩(OB・OG)
 - 就活エージェントやキャリアアドバイザー
 
といった人に、客観的な意見をもらいましょう。
実際に働いたことのある先輩なら、「内定式の雰囲気は昔からそう」「入社後は改善されている」など、現場感のある話が聞けます。逆に「その雰囲気、うちの代からずっと同じだよ」という場合は、企業体質として根深い可能性もあります。
SNSや口コミサイト(OpenWork、就活会議など)も参考にはなりますが、情報の信頼性はまちまちです。
できれば、直接話を聞くことで、よりリアルな判断材料を集めましょう。
④「辞退」も選択肢の一つ。焦らず行動する
内定式で不安を感じても、「もう辞退は無理」「今さら言えない」と思い込む人は多いです。しかし、実際には内定辞退は入社前ならいつでも可能です。
もちろん、軽い気持ちで決断するのはおすすめしません。
ただ、「違和感がどうしても拭えない」「入社してもミスマッチが確実」と感じるなら、早めに行動することが自分を守ることにもつながります。
特に次のようなサインがある場合は要注意です。
- 社員が明らかに疲弊している
 - 説明内容がコロコロ変わる
 - 質問に答えない・隠す姿勢がある
 - 価値観の押し付けが強い
 
こうした企業体質は、入社後に改善されることはほとんどありません。
内定辞退を検討する際は、大学のキャリアセンターや信頼できる大人に相談しながら、丁寧に手続きを進めましょう。
感情的に「やめます!」と伝えるのではなく、「自分のキャリアを見直した結果、別の道を選びたい」という形で誠実に伝えるのがポイントです。
⑤“保険”として他の選択肢を探しておく
「辞退するほどではないけど、不安は残る」という人も多いでしょう。その場合は、“万が一”の備えとして他の選択肢を並行して探すのがおすすめです。
具体的には、
- 秋・冬採用を行っている企業をチェックしておく
 - 就活エージェントに登録して、情報だけ受け取る
 - 気になる企業にカジュアル面談を申し込む
 
といった行動をしておくと、「最悪、他の道もある」という安心感が生まれます。
実際、10月以降でも通年採用・秋採用を行う企業は増えており、「内定式後に再スタート」する学生も珍しくありません。
内定先に不安を感じたとしても、それを理由に立ち止まる必要はないのです。むしろ、“今の段階で気づけたこと”が大きな強みです。
多くの人は入社後に初めて違和感を持ち、転職という形で修正を迫られます。それに比べて、あなたはまだ選べる立場にいます。
まとめ:違和感は「気づけた時点」で価値がある
内定式は、会社の“素顔”が見える最初のタイミングです。
表面的には華やかでも、社員の言葉や表情、会場の雰囲気に違和感を覚えたら、それはあなたの感覚が教えてくれている大切なサインです。
焦る必要はありません。「なんかやばい」と感じたら、
この5ステップを踏めば、後悔のない選択ができます。
内定式はゴールではなく、スタートライン。“やばい”と感じた瞬間こそ、あなたのキャリアを守る第一歩です。
  
  
  
  
