【ITエンジニア】よくある転職理由5選|現役人事が見た本音と建前

【ITエンジニア】よくある転職理由5選|現役人事が見た本音と建前

近年、ITエンジニアの転職市場は非常に活発です。DX推進やAI・クラウド技術の進展によって、優秀なエンジニアの需要は高まる一方で、転職サイトやエージェントの求人も常に豊富に出ています。実際に人事としてエンジニア採用を担当していると、他の職種に比べても「転職回数が多い」「転職の意思決定が早い」傾向が強いと感じます。

そこで今回は、現役人事として面接の場で実際によく聞く「ITエンジニアの転職理由」をご紹介します。さらに、表向きに語られる理由と、裏側に隠れている本音、そして採用やキャリア形成の観点からのポイントも解説していきます。

よくある転職理由5選(人事目線)

給与・待遇への不満

もっとも多い理由の一つが「給与や待遇」です。特に中堅層のエンジニアからよく聞くのは、

  • 「スキルに見合った給与が支払われていない」
  • 「成果を正しく評価されない」
  • 「同業他社の水準と比べて低い」

という声。

エンジニアは市場価値が可視化されやすいため、転職エージェントや求人情報で提示される年収を見て「自分ももっともらえるはず」と考える人が多いです。

人事目線の本音

給与は大きな理由ですが、実際には「評価制度の不透明さ」や「昇給スピードの遅さ」への不満が根底にあります。単なる年収額ではなく、将来の成長やキャリアパスと結びついて考えているケースが多いです。

スキルアップ・キャリアアップのため

次に多いのが「スキルを磨きたい」「キャリアを広げたい」という理由です。

例えば、

  • 「受託開発ばかりで、自社プロダクトに関わりたい」
  • 「テストばかりで設計や上流工程に挑戦できない」
  • 「インフラからクラウドにスキルチェンジしたい」

など、技術スタックやプロジェクトの内容に不満を感じて転職を検討するパターンです。

人事目線の本音

これはポジティブな転職理由に見えますが、裏側には「現職で成長のチャンスが得られなかった」という不満も隠れています。研修制度やプロジェクトアサインの仕組みが整っていない企業ほど、この理由での離職が目立ちます。

開発環境・技術スタックへの不満

「もっとモダンな環境で開発したい」という声も多く聞きます。

例としては、

  • 「古い言語やフレームワークしか使わせてもらえない」
  • 「開発環境がオンプレ中心でクラウドに触れられない」
  • 「自動化やCI/CDが整っていないため非効率」

といった理由です。

特に20代~30代前半のエンジニアに多いのが「市場価値の高いスキルを身につけたい」というモチベーションです。

人事目線の本音

技術スタックは企業文化やビジネスモデルに直結するため、すぐに変えるのは難しい分野です。そのため「スキルアップ」と「最新技術に触れたい」が重なり、この理由での転職は非常に多くなっています。

労働環境(残業・リモートワーク制度など)

労働環境も転職理由として大きな割合を占めます。

  • 「常に納期に追われ、長時間労働が当たり前」
  • 「リモートワークが認められない」
  • 「プロジェクト管理がずさんで炎上続き」

といった声は、エンジニア面接で日常的に聞くものです。

人事目線の本音

近年はリモートワークやフレックス制度を重視する人が増えており、特に子育て世代やライフワークバランスを意識する層では重要な要素です。給与よりも「働き方」で転職を決める人も少なくありません。

人間関係・マネジメント問題

最後に意外と多いのが「人間関係」や「上司への不満」です。

  • 「マネージャーが技術を理解していない」
  • 「評価基準が属人的で不公平」
  • 「チームの雰囲気が悪く、成長できる環境ではない」

といった理由は、面接でも比較的ストレートに語られます。

人事目線の本音

エンジニアは職人気質の人も多いため、マネジメントの質に敏感です。プロジェクトの進め方やレビュー体制が機能していない会社では、この理由での退職が目立ちます。

建前と本音の違い

面接でエンジニアが語る転職理由には「言いやすいもの(建前)」と「本音」があります。

  • 建前で多い理由:スキルアップ、キャリアアップ、最新技術に挑戦したい
  • 本音で多い理由:給与不満、マネジメント問題、労働環境への不満

人事としては、この違いを見抜くことが重要です。建前だけを鵜呑みにすると入社後のミスマッチにつながります。

採用担当としてのチェックポイント

現役人事の視点から、転職理由を確認する際に重視しているのは次の点です。

  1. 「成長のため」と言う場合、本当に主体的に学んでいるか
     → 勉強会やOSS活動の有無を聞くと見えてきます。

  2. 給与不満の場合、金額だけでなく評価制度の透明性を求めているか
     → 「年収〇万円以上希望」ではなく「評価基準を知りたい」と言う人は要注目。

  3. 労働環境を理由にする人は、ワークライフバランスの軸がどこにあるか
     → 「残業時間〇時間以内が良い」のか「リモートが必須」なのか具体性を確認。

まとめ

ITエンジニアの転職理由は、表向きには「スキルアップ」「キャリア形成」が多く語られますが、その裏側には「給与や待遇への不満」「労働環境の問題」「マネジメントへの不信感」といったリアルな要因が隠れています。

人事として大切なのは、単に転職理由を聞くだけでなく、その背景にある「不満」と「希望」を見抜くことです。これができれば採用後のミスマッチを防ぎ、エンジニアが安心して働き続けられる環境づくりにつながります。

今後もエンジニア転職市場は活発であり、優秀な人材の獲得競争は続いていきます。だからこそ、人事側もエンジニアの転職理由を正しく理解し、採用戦略や組織づくりに活かしていくことが求められています。

タイトルとURLをコピーしました